Quantum Universe

量子情報物理学を中心とした話題で、気が向いたときに更新。X(旧ツイッター)https: //twitter.com/hottaqu note https://note.com/quantumuniverse

ぼくらが旅に出る理由

と言っても、小沢健二の曲のことではない。 科学者達が世界を股にかけて旅をする理由のことだ。 昨今ではネットでつないだテレビ会議もよく行われているが、それでは得られない大切なものがリアルな国際会議にはある。 テレビ会議やメールでは決まった相手と…

量子力学を学ぶ学生の方に

ぜひ目を通してほしい記事があります。時間依存の摂動論を学ぶとき、不確定性関係の間違った理解をしないようにしましょう。⇒「摂動論と、"時間とエネルギーの不確定性関係"という名の幻。」http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/03/11/155744 にほんブ…

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不思議の国のアリスがみた量子猫?

3月にあった研究会QMKEK(http://www-conf.kek.jp/QMKEK/)で弱値の講演をされたホフマンさん、細谷さん、筒井さんへ私がさせて頂いた質問の中に、量子チェシャ猫の話がある。 (註:弱値については http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/03/11/152110 …

弱測定(weak measurement)に関する最近の論争

弱値研究で主導的役割を演じてきた、バイドマンさんと話す機会に恵まれた。 彼がアハロノフさんと一緒に提案した「弱測定」の有用性に関して、量子情報理論から疑問視する論文[1]がPhysical Review Lettersに出ており、それに反論[2]をバイドマンさんが書い…

量子論の弱値(weak value)のパイオニア達との邂逅

今日はテルアビブ大学で、相対論的場の理論における量子エネルギーテレポーテーション(QET)のセミナーをさせて頂いた。 呼んでくれた友人のベニが昨夜体調を悪くして今日は欠席というハプニングもあったが、聴衆の皆さんの反応はとても好意的で、QETの詳細…

原始重力波観測で「私たちはホーキング輻射を見ている」と確実に言えるのか。

BICEP2でのBモード観測会見で出た「私たちはホーキング輻射を見ている。」という発言に関しての前回のブログの補足。 インフレーション宇宙を記述するドジッター(de Sitter)時空には宇宙的地平面(cosmological horizon)があるために、宇宙の中を自由運動をす…

インフレーション宇宙でのホーキング輻射(Bモード観測との発表に絡んで)

BICEPという観測グループがインフレーション中に生成された量子的な重力波(重力子、グラビトン)の痕跡を見つけたと発表された。 http://www.caltech.edu/content/first-direct-evidence-inflation-and-primordial-gravitational-waves 従来の宇宙論シ…

量子ベイズ主義(Qビズム)

量子力学の解釈論は、いつも物理研究者間の会話をヒートアップさせるものだ。 多世界解釈派だ、コンシステントヒストリー派だと、騒がしくなる。 自分は極普通の「現代的コペンハーゲン解釈派」だ。 ここで「現代的」と付いているのは意味がある。 量子状態…

ブラックホール防火壁仮説Ⅱ:量子情報理論的なブラックホールの年齢 (ペイジ時間の考え方)

今回はブラックホール防火壁(ファイアーウォール)仮説[1]を理解するために必要な知識を、つれづれなるままに(?)書いてみよう。 なおこの仮説の内容を予告しておくと、前回書いたブラックホール相補性のシナリオの半分を書き変えたものと言える。 相補性…

ブラックホール防火壁仮説I:プロローグ

ブラックホール防火壁仮説について少し書いてみようと思い立った。少しでも他分野の方に量子情報物理学の面白みを感じてもらえたら、という動機から。気が向いたときにのんびりと、いくつかに分けながらアップして行く予定。 まずはプロローグ。 話は197…

摂動論と、"時間とエネルギーの不確定性関係"という名の幻。

20世紀初頭の量子力学黎明期の混乱の中で、間違った形のまま固まってしまい、最近まで伝承されてきてしまったものの1つに、"時間とエネルギーの不確定性関係"の話がある。 発端はソルヴェイ会議におけるアインシュタインとボーアの論争から。 アインシュ…

QMKEKの弱値セッションを踏まえて。

二年に一度行われている高エネルギー加速器研究機構(KEK)で量子論の基礎的テーマを扱う研究会、QMKEK。 http://www-conf.kek.jp/QMKEK/ 今年は3月10日、11日の二日間。 初日は「弱値」のセッションがあった。 私と言えば、長い間に何度も細谷さんから…

3月11日。

3月11日。あれから3年経った今日、研究会で自分の好きな研究の発表ができるという、決して当たり前ではない幸せを噛みしめる。 震災で多くの方々の死に触れ、限られた今後の人生を思いっきり使い切ると思い定めた。 改めて、腹をくくる「今日」である。 …

基研研究会YQIP2014の告知

2014年8月4日から7日に京都大学基礎物理学研究所において量子情報物理学の国際集会を開催する。 http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~yitpqip2014.ws/ 現在参加登録及び口頭発表、ポスター発表の募集中。国内外の多くの方々に参加を呼び掛けている。 8月…

あれから、3年。

明日で東日本大震災から3年。 少しずつ解決している問題もあれば、まったく膠着したままの深刻な問題も残っている。 復興状況の個人差、地域差も大きく拡大。 支援が依然として必要な人々には、今後もきちんとした支援を。 そして自立できる環境が整ってき…